大家さんの空室対策とは?入居率を上げて家賃収入を最大化しよう
家賃収入最大化のポイントは入居率(空室率)にあり
不動産投資の入口、つまり物件購入の際には、共通して比較できる数字がいくつかあります。表面利回りです。ご存知の通り表面利回りの計算式は以下の通りです。
表面利回り = 年間賃貸収入 ÷ 物件購入価格
ここで注意しなければならないのは、年間の賃料収入を満室状態かつその時の想定家賃で計算していると言う事です。
購入時のシミュレーションである程度の空室率や家賃の下落率をみて計算をしている投資家も多いですが、一方で満室を基準に考えてしまいがちなのでそこは要注意です。空室率が上がる、すなわち入居率が下がるということは、思った不動産投資や賃貸経営が出来ていないという事になります。
家賃収入は不動産投資にとっての生命線です。その家賃収入は、家賃×入居率ということを理解していれば、家賃を上げる事と入居率を上げる事が家賃収入最大化に対して重要であることがわかります。家賃はエリアと物件の築年数や広さによって相場が決まっています。物件を所有してからは容易にコントロール出来るものではありません。一方で入居率は、管理や運営の手腕つまりこの記事で解説するような対策によってコントロールできる数字であるという点を認識する事が大切です。では、不動産投資の生命線ともいえる家賃収入を最大化するにはどのような対策、つまり上げ下げができるレバーがあるのでしょうか。この記事では、物件購入時ではなく、物件を保有してからできる対策について説明します。
賃貸住宅の空室率については、ホームズがデータを公開していますので、ご自身の物件のエリアは参考にされると良いでしょう。
【ホームズ】見える!賃貸経営
入居率を高める不動産投資家の取るべき対策とは?
まず、入居率を上げる要素について分解すると、大きく二つに分けることができます。
ひとつは、「新しい入居者に入って貰う」
もうひとつは、「長く住んで貰う」ことです。
この両輪が回ってこそ、安定した賃貸経営と家賃の最大化がはかれます。
新規入居者獲得のための対策
新しく入居して貰う為には、共通して言うと物件力を高める事です。つまり入居して貰いたいターゲットにとって、満足度の高い住環境にすることが対策となります。具体的には以下になります。
①満足度の高い環境にする
清潔にする
内覧時の室内もそうですが、共用部も普段から綺麗に清掃が行き届いた状態にしましょう。また入居者の私物が共用部に置かれて無いか等も、物件の印象を大きく左右します。
外観のメンテナンスをする
こちらも物件の印象を大きく左右します。タイミングはありますが、外壁の塗り替えや清掃、定期的なメンテナンスが必要かも知れません。
古くなった設備の交換をする
給湯器、水回り、換気扇やエアコンなど壊れたら変えるという考えもありますが、空室になっているタイミングで交換することも満足度に繋がります。
人気の設備や入居者向けサービスを充実させる
周辺の物件との差別化を図れるような設備であれば導入を考えてもいいかも知れません。宅配ボックス、モニター付きインターホンなどの設備の設置。無料インターネット環境の提供などです。
リフォーム・リノベーションをする
壁紙などの内装を変える簡単なリフォームから、間取りの変更、和室から洋室へ変える、収納を備え付けるなど物件の価値を上げるリノベーションをする事も入居率、ひいては家賃を上げる事につながります。
水回りを新しくする
キッチン、お風呂、洗面台など、水回りの設備が古く著しく競争力を失っていれば設備を一新する事も検討しなければなりません。ここで入居者の検討から外れる場合が多いからです。
ホームステージングをする
内覧時やインターネットでの募集時の写真など、おしゃれな家具が置かれた状態にする事で入居率を高める事が出来ます。最近では実際の家具設置だけではなく、バーチャルに住環境をイメージできる、デジタルステージングのサービスなども増えています。
②入居者にお得と思って貰う対策
以下は、入居の後押しになるように入居者がお得と感じるものを提供する対策になります。
フリーレントをつける
家賃1ヶ月分や初月無料などと設定をします。募集期間を限定をする事によりより効果的な対策になります。
家具家電付きにする
すぐに生活が出来る状態を提供します。家具や家電の初期費用が掛からない事で物件の競争力を高めます。ホームステージングを行った場合などもそのまま使用できるようにするケースもあります。またこれによって相場家賃よりも高く入居者を付けられるケースもあります。
Amazonギフトカードやクオカードなど入居者特典をつける
こちらも、キャンペーンとして限定した期限を設けて入居者に対してのプレゼントとして提供する対策です。
礼金などの初期費用が掛からないようにする
入居者にとって礼金が掛かる事が大きなネックとなる事があります。礼金ゼロにする事で検討から外れないようにする対策です。
③管理会社や客付けしてくれる不動産仲介に対しての対策
募集要件を緩める
ペット可、二人入居可、外国人可、高齢者可など募集条件を緩めれば入居率は上がります。
集客力の高い管理会社を選ぶ
管理会社にも強み弱みがあります。客付けに強い、集客力の高い管理会社を選ぶということも有効です。
管理会社や不動産仲介会社の優先順位を上げて貰う
広告費(AD)を周辺の相場より払う事によって、不動産会社の客付けの優先順位が変わります。これは相手も利益を追求する会社であるので当然の事です。また、一棟所有している投資家にとっては継続して客付けをしてくれるパートナーとなる可能性が高いので、差し入れを持って事務所に訪問や、飲食などを共にするような関係構築をしている大家さんもいます。
それ以外にも、交換した設備の写真やホームステージング(デジタルステージング)した写真などの素材を提供したり、自作の物件資料を持参して、より物件の紹介を優先してもらうような動きを取られる方もいます。
家賃を下げる
相場の家賃より下げれば、自ずと選ばれる確率は上がり入居率は向上します。冒頭にも説明したように、家賃収入は家賃×入居率であるので、安易に家賃を下げず最終手段と考えることが良いでしょう。
既存入居者に長く住んでもらうための対策
①既存入居者にも満足度の高い住まい環境を提供する
下記の3つは新規の入居者向けの満足度の高い住まい環境の整備と同じです。共通していると言う事は、より日常の管理とメンテナンスは入居率を高める、ひいては物件の価値を維持する事に重要だと言う事が言えます。
清潔にする
外観のメンテナンスをする
人気の設備や入居者向けサービスを充実させる
②既存入居者の退去理由を潰していく
クレーム、相談にはスピーディーに対応する
設備の故障や騒音などのクレームにはスピーディーに対応できる管理体制が望まれます。
入居者アンケートや退去時のアンケートを実施し改善できる事は改善をしていく
特に入居者へのアンケートを行いそこから得た事を実現したり、改善していく事は入居者の満足度につながります。大家さんとしても施策・対策の裏付けになり、入居者との緩やかなエンゲージメント構築にも繋がる施策になります。
更新料を取らない契約にする
数年住んでいると、当時のままの家賃で割高なのではないか?更新料を払う位なら引っ越ししようかと考える人も少なくありません。更新料も大事な収入ですが、更新されずに退去し空室期間が長くなる事と天秤に掛けたら更新料不要とするケースも有効です。
お金を出すだけの投資ではなく事業として経営する事が重要
この記事では、入居率を上げて家賃収入を最大化するための空室対策について解説しました。解説した内容についてはすべてが皆さんの物件に当てはまるものではありません。物件の種類、入居者のターゲット、エリア、管理会社等によってできる事できない事の差はあるでしょう。また、対策にはコストが伴います。その対策が費用対効果に見合うものなのかを見極めて、実施するか否かの判断も重要と言えます。そういう意味では不動産投資と言いながらもお金を出すだけの「投資」ではなく。不動産賃貸業や大家業という事業を「経営する」という意識や行動が必要ではないでしょうか。なかなか奥が深いですが、満室経営を目指すことは不動産投資で資産形成をして行くうえで最も重要かつ、醍醐味でもあるのではないでしょうか。