不動産投資の基礎知識

不動産投資の最重要戦略:出口戦略と融資の関係を知ろう

不動産投資の最重要戦略:出口戦略と融資の関係を知ろう

不動産投資の成否は出口戦略で決まる

不動産投資の成否は出口戦略で決まると言われています。出口戦略という言葉は元は軍事用語のようで、人命や物資の損失を最小限に抑え戦場を撤退する戦略を指すようです。不動産投資においては、入口である物件購入から賃貸経営を行い、出口である売却をしてやっと投資の利益や損失の結果が確定します。不動産投資においての出口戦略とは所有物件の売却を戦略的に行い、利益の最大化を狙う事を指します。
別の記事でも解説していますが、不動産投資での利益は、安定した家賃収入であるインカムゲインと、売却時に得られる売却益であるキャピタルゲインの2種類があります。不動産投資のメリットともいえる、インカムゲインキャピタルゲインと並んで「融資を受けて物件を購入する事ができる」という点も出口戦略では重要なポイントになってきます。

 

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出口戦略のための融資の3つのポイント

不動産投資では「融資を受けて物件を購入する事ができる」というメリットから、融資を受けてスタートする投資家がほとんどです。
そのため、最終的な売却を成功させるためには、出口を意識した、次の買主の融資を考える必要があります。そのポイントは3つです。

 

ポイント1 次の買主は融資期間が取れるか

ポイント2 物件評価をしたときに融資額はどのくらい出るか

ポイント3 融資対象エリアの金融機関の数

 

ポイント1 次の買主は融資期間が取れるか

それぞれ説明しましょう。ポイント1 次の買主の融資には融資期間が取れるか。購入の際に新築であっても売却するときは中古の収益物件として扱われます。中古の収益物件への融資では、融資の期間がネックになります。
融資期間が短くなれば、いくら金利が低くても毎月の返済額は多くなります。
このことから、返済比率が高くキャッシュフローが出づらくなり、ローン返済が難しくなることもあります。買い手の投資家にしてみれば、なるべく長期の返済期間が取れる物件を狙いたいと考えるでしょう。
金融機関が用意している収益物件の融資には、2つのタイプがあります。1つはプロパーローン。事業性融資とも言われます。
もう1つは、パッケージ型融資と言われるアパートローンです。

プロパーローンアパートローンの解説記事はこちら

不動産投資で使える2種類のローンとは?アパートローンプロパーローンを解説

 

プロパーローンの場合

不動産賃貸業としての事業性融資は、都市銀行、地方銀行、信用金庫などで取り扱いがあり、 融資期間を原則的には建物の法定耐用年数内としています。
法定耐用年数とは、減価償却資産を何年で費用化するかを法律で決めた耐用年数のことです。物件の種類や構造、用途によって異なります。不動産投資で関わる減価償却資産は建物になります。 建物の場合、構造によって法定耐用年数が異なります。木造、軽量鉄骨造、 鉄骨造、鉄筋コンクリート造のものがほとんどです。それぞれの法定耐用年数は、木造は22年、軽量鉄骨像は27年、鉄骨像は34年、鉄筋コンクリート像は47年となっています。
金融機関の融資機関は耐用年数内になるので、中古物件の場合は次のようになります。

融資期間=法定耐用年数-経過期間

将来の売却のタイミングを想定した時、耐用年数の残存期間が次の購入者の融資期間になります。例えば、木造新築アパートの物件を購入して12年後に売却する場合、法定耐用年数22年から経過期間12年を差し引くので、融資期間は10年になります。
法定耐用年数の残りが少ないと、次の購入者の融資期間も短くなり、融資が使いづらいため買い手が少なくなる可能性があります。
そのため、物件を売却するときに耐用年数の残り=融資期間が出来る限り残っていることが理想的となります。 プロパーローンは主に新築アパートや鉄骨像、鉄筋コンクリート造マンションに活用されることが多いと言われています。そのため、物件のロットも大きいものになることが少なくありません。物件ロットが大きい場合、土地を更地にして売却する選択肢を取りづらい傾向があります。

アパートローンの場合

アパートローンはパッケージローンとも言われています。主にサラリーマンなど本業の所得がある人を前提とした融資です。アパートローンは、所得の金融が融資額に影響するため、ロットが小さい物件に活用されます。例えば、1億円以下の新築や中古のアパートなどです。所得が融資額に影響するため、プロパーローンと異なり、法定耐用年数を過ぎた中古木造物件であっても、期間の20から30年の長期で取れる設定のものが少なくありません。
その代わり、融資基金利についてはプロパーローンより1、2パーセント程度高い設定となります。つまり、保有期間の売却出口を考えた場合、1億円以下のアパートであれば、5年から10年ぐらいの運用後に損することなく売却できることが可能です。ただし、購入した時に適正な利回りで購入していることが重要です。不適切な金額で購入している場合は、売却金額を下げなければ売れない可能性があります。アパートローンを取り扱っている金融機関はネット銀行、地方銀行の一部、ノンバンク系金融機関が中心となります。それぞれの金融機関で一定の融資基準があります。

 

ポイント2  物件評価をしたときに融資額はどのくらい出るか

続いては、次の買い手が物件を購入するときに必要な融資額がきちんと出るかについて見ていきます。購入しようと検討している物件の価格に対して、融資額の割合が大きければ大きいほど売れやすくなります。融資額は各金融機関によって変わりますが、基本的に次の3つの要素で決まります。

積算評価

積算評価は、土地や建物の面積にそれぞれ基準単価をかけて算出したものです。
面積が大きく建物が新しいと、それだけ評価は大きくなります。なお、土地の評価は変わりませんが、建物の評価は毎年減価します。このため、売却時にどのくらい減価するのかを事前に確認しておきます。築20年超の 木造中古アパートの場合、建物評価はほぼありません。この場合、土地評価がそれなりに高くないと売りづらくなるということになります。

 

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収益評価

収益評価は、物件から得られる賃料収入をエリアの利回りで割り戻し算出します。利回りが同じであれば、賃料が多ければ多いほど評価が大きくなります。

購入者の属性

購入者の勤務先、年収、自己資金、資産、家族構成、年齢などの個別要因のことです。
その他に融資審査のポイントとして、居住地(法人の場合所在地)やその金融機関との取引実績、購入物件積算評価収益評価が融資額に影響をします。積算評価収益評価が高い物件の方が融資額が多くなるので、買い手も付きやすく売りやすいのです。次に個人属性で大切になってくるのは、金融資産と勤務先や職業、年収になります。金融資産は購入を検討する物件価格の2割程度が理想です。融資額に対する個人属性の影響は大きく、 個人属性が良ければオーバーローンフルローンを組める人もいます。しかし、オーバーローンフルローンが組めても、それは個人属性が良かっただけで、物件の積算評価収益評価は低いということもあり得ます。その場合は売却時に損が出てしまう可能性があります。だからこそ、積算評価収益評価が高い物件を選ぶことがリスクヘッジになります。
アパートローンと言えば個人属性重視、プロパーローンと言えば物件評価重視と言われていました。ところが最近ではプロパーローンも個人属性を重視しています。物件評価についても、積算評価よりも収益還元評価=収益性を重視している金融機関が多くなっているようです。詳細の融資情勢については、別の記事でお知らせしたいと思います。

 

ポイント3 融資対象エリアの金融機関の数

売却のタイミングで買い手をつけるには、融資対象エリアに金融機関が多いこともポイントのひとつです。これは単純に使える金融機関が多ければ多いほど選択肢が増え、融資付けには有利なためです。地方で投資をする場合には、金融機関が限られているリスクがあります。地方銀行が1つしかなく、その銀行がエリア全ての融資を行っている場合があります。
仮にその賃金が不動産投資に関連する融資に消極的になった場合は、融資がつかなくなるので、物件の売却が難しくなります。そのためにも複数の金融機関の選択肢があった方が良いのです。
また、アパートローンは融資エリアが広いものが多く使いやすい反面、その金融機関が融資した物件でその金融機関の抵当権が付いてる物件には融資しないこともあります。つまり、自分が購入するときに使った金融機関は次の買い手は使えないケースも存在するのです。
その物件を売却するときに使えるローンが自分が使ったアパートローンだけになれば、売却が難しくなるので、アパートローンを使う場合、その次も同じアパートローンが使えるか、融資内容をきちんと確認しておくことも必要でしょう。

 

まとめ:出口戦略とは次の買い手の融資を考える事

以上、不動産投資の出口戦略、つまり収益物件の売却では、次の買い手の融資についての3点がポイントと解説しました。次の買い手が融資を使う人だけとは限らないかも知れません。現金買いをする投資家や外国人の富裕層、不動産ファンドなどが買い手になってくれるレアケースもあるかも知れません。または実需向けに売却できるような物件かも知れません。しかしながら、次の買い手はどのような人か、その人がどのような融資が使えるのかなど、対象が一番大きい、融資を使って購入する不動産投資家の立場になって出口戦略を考える事が不動産投資攻略の大きなポイントであると言えます。それを知れば最適な売却のタイミングも予め想定する事が出来るのではないでしょうか。

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